Databricks × Genieで非エンジニアでもできる
“簡単可視化”
- Databricks
- Genie
- Unity Catalog
- SQLウェアハウス
- Data Lake
- データレイク
- レイクハウス
- AI
- 生成AI
- 機械学習
- 自然言語処理
- DX
- ノーコード分析
- コーディング不要
- BIツール
- セルフサービスBI
- データ民主化
- 可視化
- ダッシュボード
はじめに
前回のコラムでは、Databricks 上で “生成AIをダッシュボード作成にどう活かせるか” について触れました。今回はその続編として、可視化のさらなる効率化・簡易化に向けたアプローチについてご紹介いたします。
前回ご紹介したダッシュボード以上に、柔軟かつ詳細にデータを確認したい方に注目いただきたいのが、Databricks が提供する対話型の生成AIアシスタント「Genie」です。
Genieは、自然言語で質問するだけで集計表やグラフを自動的に提示します。専門的な知識がなくても直感的にデータを探索・可視化できるため、ビジネスの意思決定を迅速化する機能です。
今回は、Genieを使って実現できる「簡単な可視化」と「少しテクニカルな分析」の2つの活用例をご紹介しながら、その手軽さと可能性を体感していただければ幸いです。
Databricks Genieの機能
Genie は、Databricks の Unity Catalog で管理されたデータに対して、対話型で探索・可視化ができる “AIアシスタント” です。自然言語を使ってデータと対話することで、SQL や Python のコードを書かずとも、多くのケースで必要なグラフや集計を生成できるのが最大の特長です。
代表的な機能は以下の通りです。
● テーブル探索とチャート作成
テーブルを選んで「Explore in Genie」をクリックするだけで、Genie が内容を読み取り、列の概要やデータ分布を提示してくれます。
そのまま棒グラフや折れ線グラフ、円グラフなどの基本チャートを自動生成することも可能です。
● 自然言語での質問
「月別の売上推移を折れ線グラフで見たい」「ステータスコード別の件数を集計して」など、自然な日本語や英語での問いかけに対して、Genie が適切な可視化を返してくれます。
● 高度な集計の実装
移動平均や累積集計といったやや高度な分析も、特定の設定項目を選ぶだけでグラフに組み込むことができます。
SQL でウィンドウ関数を書く必要はなく、非エンジニアでも高度な可視化を容易に扱えるのが特徴です。
検証の概要
前回の検証にて作成したダッシュボードを、Genie の UI だけでテーブルの中身を直感的に確認・可視化します。
なお、使用するデータは前回同様、架空の小売店舗における POS データです。
基本操作
まず Genie を利用するには、画面左側のメニューから『Genie』を選択します。
次に新しいスペースを立ち上げてテーブル (架空の小売店舗における POS データ) を選択し SQL ウェアハウスを立ち上げると以下のような画面が表示されます。

入力フィールドに自由に質問や指示を入力することで、データを操作できます。
画面上にはサンプル質問がデフォルトでいくつか表示されており、サンプル質問にある「データセットを説明してください」を選択するとテーブルの情報が表示されます。

▶ Genieによって生成された結果(動画)
検証結果
検証①-円グラフ
Databricks の GUI で作成したダッシュボードを Genie のプロンプトのみで再現します。
GUI で作成した円グラフは下図のとおりです。

次にGenieで上記の円グラフを再現するために、次のプロンプトを使用します。
実行プロンプト:地域別の売上合計を円グラフにしてください。

▶ Genieによって生成された結果(動画)
ダッシュボードでグラフの種類を選ばなくても、プロンプトを入力するだけで、Genieが内容を判断して自動的に最適なグラフを生成してくれます。
検証②-移動平均
続いて、やや複雑なクエリとGUIの組み合わせで作成した「移動平均のグラフ」を、Genieのプロンプト入力だけで再現します。

次にGenieで上記の移動平均グラフを再現するために、次のプロンプトを使用します。
実行プロンプト:年月毎に売上合計と売上の移動平均グラフを作成してください。

▶ Genieによって生成された結果(動画)
「移動平均」という単語のみでダッシュボードと同じグラフが作成できます。
このように複数の指標を含むグラフであっても、軸となる項目やグラフの種類、集計方法を具体的にプロンプトで指示すれば、Genie が自動でグラフを作成してくれます。
結果サマリ
Genie を使えば “コードなし” で簡単な可視化ができるだけでなく、少しテクニカルな集計や分析も、手軽に実現できます。
クリック操作と自然言語だけで可視化・分析ができ、エンジニアでなくとも直感的に“気付き”を得られる環境を作成可能です。
結び
Genie は、自然言語でデータと対話できる機能であり、これまで専門的な知識が必要だと感じていた方でも、わずかな操作でデータの価値を引き出すことができます。まさに「誰でもデータ分析に触れられる世界」を象徴する存在です。
ただし、非エンジニアの方が Genie を業務で活かすためには、適切なカタログ設計やデータ品質の担保、使いやすいテーブル設計など、あらかじめデータ基盤を整備しておくことが欠かせません。
当社は、この「誰でもデータ分析を実現できる環境づくり」を支えるため、Databricks の初期構築からデータの収集・蓄積、分析・機械学習モデルの開発まで、End to End の開発・運用を一貫してご支援しています。
その活動の一環として、今後も Databricks の新機能や活用事例を継続的に調査し、最新情報をお届けしてまいります。ぜひご期待ください。
執筆者

- 岩田 巖
- 先進ソリューション事業部 AIビジネス統括部 アナリティクスAI担当
- データ分析・機械学習・データ基盤構築を中心にリーダー経験を持ち、近年はDatabricks移行・自動化や社内展開支援を牽引している。

- 梶原 咲良
- 先進ソリューション事業部 AIビジネス統括部 アナリティクスAI担当
- 人事データの集計・加工や可視化、データ保守を担当。今回の技術検証にてDatabricksに触れ始め、基盤構築へのスキル拡大に取り組んでいる。