COLUMNニューソンコラム

2025.02.25

企業におけるサイバーセキュリティの現状 高度化・増加するサイバー攻撃に備えて求められることとは

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はじめに

企業におけるサイバーセキュリティの重要性

現代社会では、インターネットやIT技術の進化によりデジタル化が加速し、日常生活やビジネス活動において膨大な量のデジタル情報が扱われる時代になっています。本来、サイバーセキュリティという領域は、ありえない話になりますが、セキュリティ対応そのものが必要なくなることが理想です。しかし、このようにデジタル化が進む現代社会において、サイバー攻撃はより高度化し、攻撃件数も増加傾向が続き、サイバーセキュリティ対策は企業の存続と成長に不可欠な要素となっています。特に、日本企業においても、企業規模を問わずサイバー攻撃の脅威が増大しており、その影響は経営に甚大なダメージを与える可能性があります。企業が保有する顧客情報や機密データが漏洩することで、信頼性の低下や法的な問題が発生し、最悪の場合、企業の存続が危ぶまれる可能性もあります。

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大規模サイバー攻撃観測網(NICTER)におけるサイバー攻撃関連の通信数の推移 
※総務省「令和6年版 情報通信白書」より

サイバー攻撃の増加とその影響

近年、サイバー攻撃の件数は増加の一途をたどっており、その手法も高度化しています。
(例:ランサムウェア攻撃*1、フィッシング詐欺、ゼロデイ攻撃*2 など)
これらの攻撃は、企業の業務を停止させるだけでなく、情報漏洩や金銭的な損失を引き起こすことがあります。具体的な事例として、某大手企業がランサムウェア攻撃を受け、数日間にわたり業務が停止し、ユーザーに対して多額の賠償金を支払う事態となったケースがあります。このような事態を防ぐために、効果的なサイバーセキュリティ対策が不可欠になります。

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大規模サイバー攻撃観測網(NICTER)におけるサイバー攻撃関連の通信の内容 
※総務省「令和6年版 情報通信白書」より
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サイバーセキュリティに関する問題が引き起こす経済的損失 
※総務省「令和6年版 情報通信白書」より

*1 ランサムウェア攻撃:データを暗号化してアクセス不能にし、復号のために身代金を要求するサイバー攻撃のこと。
*2 ゼロデイ攻撃:ソフトウェアの未修正の脆弱性を狙い、開発者が対応する前に悪用するサイバー攻撃のこと。

現在のサイバーセキュリティ対策の普及状況

日本企業のサイバーセキュリティ対策の現状

日本企業におけるサイバーセキュリティ対策の普及状況は、企業の規模や業種によって異なります。 大企業では、専任のセキュリティチームを設置し、最新のセキュリティ技術を導入するなど、比較的高度な対策が講じられていることも多いです。一方で、中小企業においては、予算や人財の制約から、十分な対策が取られていないケースが多いです。特に、セキュリティ人財の不足やコストの問題が大きな課題となっています。

一般的な対策とその効果

一般的なサイバーセキュリティ対策としては、ファイアウォールやアンチウイルスソフト、侵入検知システム(IDS)などが挙げられます。

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これらの対策は、基本的な防御策としては有効ですが、単独では限界があります。例えば、ファイアウォールは外部からの不正アクセスを防ぐ役割を果たしますが、内部からの攻撃や高度な攻撃手法には対応しきれないことがあります。そのため、多層防御(Defense in Depth)の考え方が重要となります。多層防御とは、複数のセキュリティ対策を組み合せて、攻撃を多段階で防御する方法です。これにより、一つの対策が突破された場合でも、他の対策が攻撃を防ぐ役割を果たします。

中小企業と大企業の違い

中小企業と大企業では、サイバーセキュリティ対策に対するアプローチやリソースの差異が大きいです。大企業は、専任のセキュリティチームを持ち、最新技術を導入するための予算も豊富にあることが多いです。一方で、中小企業は、限られたリソースや予算の中で効果的な対策を講じる必要があります。そのため、中小企業向けには、コストパフォーマンスに優れたセキュリティソリューションや外部の専門家による支援が重要となります。

サイバーセキュリティの課題

人財不足

サイバーセキュリティの分野では、専門知識を持つ人財の不足が深刻な問題となっています。高度な技術と知識を持つ専門家が求められる一方で、教育機関や育成プログラムが追い付いていない現状があります。このため、多くの企業が必要な人財を確保できず、セキュリティ対策が不十分になるケースが見られます。例えば、ISC2 Cybersecurity Workforce Study(2023年版)によれば、日本国内のサイバーセキュリティ専門家の不足率は約30%に達しており、企業が必要とする人財を確保することが困難な状況が続いています。

コスト

サイバーセキュリティ対策には多大なコストがかかります。特に中小企業にとっては、最新のセキュリティ技術や専門家を雇用するための予算を確保することが難しい場合があります。このため、コスト削減を優先し、セキュリティ対策が後回しにされることがあり、結果として脆弱性が生じるリスクが高まります。例えば、ある中小企業では、セキュリティ対策にかかるコスト削減をするために、古いソフトウェアを使用し続けた結果、ランサムウェア攻撃を受け、多額の損害を被ったケースがあります。

技術の進化と新たな脅威

サイバー攻撃の手法は日々巧妙化しており、新たな脅威が次々と出現しています。これに対抗するためには、常に最新の技術と情報を取り入れる必要がありますが、企業がこれに追いつくのは容易ではありません。特に、ゼロデイ攻撃や高度な持続的脅威(APT)などの攻撃手法に対する防御策を講じることは難しいでしょう。このような攻撃に対しては、迅速な対応が求められますが、企業が常に最新の情報を把握し、適切な対策を講じることは容易ではありません。

法規制とコンプライアンス

サイバーセキュリティに関する法規制やコンプライアンスの要件は年々厳しくなっています。企業はこれらに対応するために多くのリソースを割かなければならず、特に国際的に事業を展開する企業にとっては、各国の異なる規制に対応することが非常に大きな負担となります。例えば、欧州連合(EU)の一般データ保護規制(GDPR)や日本の個人情報保護法など、各国の法規制に対応するためには、企業内部の体制整備や従業員の教育が必要となります。

企業のセキュリティ課題にNTTデータニューソンが寄与すること

プライベートSOC運用支援サービスが解決する具体的な課題

当社のプライベートSOC運用支援サービス以前のコラムでも紹介したように、企業のサイバーセキュリティ対策を強化するための包括的なソリューションとなっています。SOC(Security Operation Center)は、サイバー攻撃の監視、検知、対応を行う専門組織であり、企業のセキュリティを守る役割を担います。
当サービスでは、企業毎にカスタマイズされたセキュリティ対策を提供し、迅速かつ効果的な対応を実現します。

  • 人財不足の解消:当社の経験豊富なセキュリティスペシャリストによるサポートにより、企業内部での人財不足を補完します。
  • コスト効率の向上:高度なセキュリティ対策をリーズナブルな価格で提供し、コスト効率を改善します。
  • 最新技術への対応:UEBAなど、最新のAI技術や機械学習、分析技術を活用することで、精度の高い異常検知が可能となり、より高度なセキュリティリスク管理や新たな脅威への迅速な対応を実現します。
  • コンプライアンス支援:法規制やコンプライアンス要件に対応するための支援を行い、企業のリスクを軽減します。

企業のセキュリティ体制の強化

当社のサイバーセキュリティ支援を活用することで、企業のセキュリティ体制を強化することができます。

  • 多層防御の実践:複数のセキュリティ対策を組合せて、多層防御を実現します。これにより、一つの対策が突破された場合でも、他の対策が攻撃を防ぐ役割を果たします。
  • セキュリティ意識の向上:従業員のセキュリティ意識を向上させるための教育やトレーニングを実施します。これにより、内部からの脅威に対する防御力を高めることができます。
  • 継続的な改善:定期的にセキュリティ状況を評価し、必要に応じて対策を講じ、改善します。これにより、最新の脅威に対応できる体制を維持します。
  

中小企業の課題に対する支援

2024年の情報セキュリティ10大脅威でもサプライチェーンや委託先を狙った攻撃が第2位に入るなど、サイバー攻撃に合うのは大手企業で中小企業はターゲットになりにくいという考えはすでに過去のものとなっています。その為、適切なセキュリティ対策を実施し、サイバー攻撃に対する対策を行うことが求められています。
当社はコストパフォーマンスに優れたソリューションにより支援することで、お客様のサイバーセキュリティ対策の推進を後押しします。

  • カスタマイズ性:当社のプライベートSOC運用支援サービスは、企業ごとのニーズに合わせたカスタマイズが可能であり、特定の業界や業務に特化したセキュリティ対策を提供します。
  • スケーラビリティ:企業の成長・規模に合わせ柔軟に対応できるスケーラブルなサービスを提供します。
  • コスト効率:高度なセキュリティ対策をリーズナブルな価格で提供し、コストパフォーマンスに優れたサービスを提供します。
  • ゼロトラスト環境構築支援:ゼロトラスト製品は非常に高額な製品も多いですが、中小企業でも比較的導入しやすい製品のご紹介、環境構築のご提案を可能とするため、ベンダ各社との連携を進めています。
    それらの製品を活用し、コストパフォーマンスに優れたセキュリティ対策を提供します。

まとめ

サイバーセキュリティの重要性の再確認

サイバーセキュリティは、企業の存続と成長に不可欠な要素となります。サイバー攻撃の脅威が増大する中で、効果的なセキュリティ対策を講じることがより一層求められています。企業は、サイバーセキュリティの重要性を再確認し、適切な対策を講じることで、情報漏洩や業務停止などのリスクを低減することができます。

サイバーセキュリティの未来予測と取るべき対策

サイバー攻撃の手法が日々進化し、新たなリスクが次々と登場する中、企業は現状の課題に対応するだけでなく、将来を見据えたセキュリティ対策を講じることが求められています。

  • 新たな脅威に対する対応:サイバー攻撃の手法は日々進化しており、新たな脅威が次々と出現しています。
    企業は、常に最新の情報を把握し、適切な対策を講じることが求められます。
  • AI技術の活用:AI技術の進化により、サイバーセキュリティ対策も一層高度化しています。
    企業は、AI技術を活用したセキュリティ対策を導入し、迅速かつ効果的な対応を実現することが重要となります。
  • 継続的な改善と成長:サイバーセキュリティ対策は一度導入すれば終わりではなく、継続的な改善が必要です。
    企業は、定期的にセキュリティ状況を評価し、必要に応じて対策を見直すことで、常に最新の脅威に対応できる体制を維持することが求められます。

NTTデータニューソンのセキュリティ支援の価値

サイバーセキュリティの未来は、技術の進化とともにますます重要性を増してきています。企業は、常に最新の情報を把握し、適切な対策を講じることで、サイバー攻撃の脅威に対抗することが求められます。当社のプライベートSOC支援サービスとサイバーセキュリティ支援は、企業のセキュリティ体制を強化し、将来の脅威に対する備えを提供するものです。継続的な改善と成長を目指し、企業の安全と信頼性を確保するための『Best IT Partner』として、今後も貢献していきます。   

執筆者

高橋 健一郎
基盤サービス事業部 システム技術統括部 運用技術担当部長
IoT/M2Mなどの分野におけるシステム開発、業務運用設計、システム運用設計、維持保守業務に従事。